イタリアの町並み紹介と自転車事情 Vol.13

投稿者 on 5月 06, 2010

■50年前のローマオリンピック優勝者にインタビュー!■

みなさん、こんにちは。

サイクルハンター イタリア駐在員の森です。

今回は従来と違って店舗や工房ではなく人にスポットを当ててレポートしたいと思います。

以前より、現役ではなく往年の自転車選手に取材できないかと色々とリサーチしてきた結果、今から50年前に開催されたローマオリンピックの自転車競技にて金メダルを獲得、その後プロに転向、数々の輝かしい成績を残されたMarino Vigna(マリーノ・ヴィーニャ)氏にお話を聞く事ができました。

Marino Vigna氏

■Marino Vigna氏の経歴■

  • 1938年11月6日にイタリア、ミラノに生まれる。
  • 1955年から自転車競技選手として活動を始め、翌年にはロンバルディア州のロードチャンピオンとなる。
  • 1958年に団体追い抜き競技でイタリアチャンピオンとなる。
  • 1960年第17回夏季ローマオリンピックに出場、4000mt団体追い抜き競技にて金メダル獲得(団体メンバーはMarino Vigna、Luigi Arienti, Franco Testa, Mario Vallottoの4名で優勝タイム:4分30秒90)
  • 1961年にプロ転向
  • 現役引退後、1968年~1970年の3年間は当時Vittorio AdorniとEddy Mercksを擁するチーム’ Faema ‘のスポーティブ ディレクターに就任その後も数々のイタリア自転車競技団体の要職を歴任、現在に至る。

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プロでの成績

年 [所属チーム] 主な成績

  • 1961年 [Philco] Gonzagol(Italia) 3位
  • 1962年 [Philco] Milano – Mantova 2位

Vigna in 1962

  • 1963年 [Legnano] Giro d’Italia 第14ステージ(St.Vincenti – Cremona) 優勝
  • 1964年 [Gazzola] Tour de Romandie(Swiss)第2ステージ 優勝
  • Tre Valli Varesina(Italia) 優勝

Vigna in 1964(Tre Valli Varesine優勝時)

  • Tre Province(Italia) 優勝
  • 1965年 [Ignis] Trofeo Laigueglia(Italia) 優勝
  • Milano – Torino(Italia) 2位
  • 1966年 [Vittadello] Milano – Torino(Italia) 優勝
  • 1967年 [Vittadello]この年現役引退

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以下はMarino Vigna氏とのインタビュー内容です。

Marino Vigna氏

森(以下M):「この度はお忙しい中お時間を取って頂き本当にありがとうございます。このオフィスはVigna氏専用のようですが現在はどのようなお仕事をなさっているのでしょうか?」

Marino Vigna氏(以下V):「ここはFederazione Ciclistica Italiana(通称F.C.I.イタリア自転車競技連盟)の下部組織の団体が色々と入っているオフィスでその中のConsiglio del Ciclismo Professionistico(通称C.C.P.プロ自転車競技議会)とAssociazione Corridori Ciclisti Professionisti Italiani(通称A.C.C.P.I.イタリアプロ自転車競技選手連盟)の役員をしているのでここにオフィスを用意してもらっている訳です。でも殆ど外を飛び回っているので週に一回位しか顔を出しませんが」

Vigna氏のオフィス

M:「ミラノ中央駅近くのこんな便利な場所にそんな団体の事務所があったとは全く知りませんでした。現在は他にどんな活動をされているのでしょうか?」

V:「ここは確かに中心地だけど、ミラノ郊外に住んでいる私には不便極まりないけどね実際は。それとここの役員以外にはBianchi社のアドバイザーもしています。主にアマチュアのチームを対象にしたアドバイザーだけど。」

M:「Bianchiですか?この業界では超有名な会社ですよね。今でもイタリアで自転車を生産しているんでしょうか?」

V:「Bianchiも今ではCycle Europeというスウェーデンの会社が親会社になって世界中に工場は散らばっているけど、ミラノから少し離れたTreviglioの会社では今でもMade In Italyの自転車を生産していて、私も週に一度はそこにも顔を出すようにしています」

M:「一度Bianchiにも伺って取材をしてみたいもんですね」

V:「いいですよ。5月8日から始まるGiro d’Italiaが終わったら少し落ち着くからその時に一緒にお連れしますよ。今回のGiro d’Italiaはスタートがオランダのアムステルダムなんで、スタート前日には私もGazzetta del Sporto(イタリア最大発行部数を誇るスポーツ紙でGiro d’Italiaを主催)に同行してアムステルダムに行かなければならないんですよ。その後もレースが終わるまでは自宅とレースの往復でバタバタ状態になりそうです。」

M:「本当ですか?私も5月後半から6月初めまで私用で日本に行きますんで、日本から戻ってきたら是非ともお願いします。話は変わって今もVigna氏は自転車に乗られているそうですが、本当ですか?」

V:「本当ですよ、でもあくまでも趣味でという事ですが。普段はあまり時間がないので、夏のバカンス時期にまとめて乗るようにしています。走行距離も少なく、年間で1000キロくらいかな。」

M:「71歳だというのにお元気ですね。今日本も会社をリタイアされた年配の方達が新たに自転車に乗り始められると聞いていますが、Vigna氏からそんなご年配の方達にアドバイスをお願いします。」

V:「まずは楽しんで乗る事が一番ですね。余り無理をしないように1日に走る距離は50~60キロくらいが妥当だと思います。それと大事な事は絶対一人で乗らない事、2名以上のグループで行動しないと危険ですから」

M:「それと年配の方にもっとも適したフレームの素材は何だと思われますか?」

V:「やはりチタンでしょう。高価ですが、我々年配には軽くて丈夫で一番適していると思います。リタイアされた後なら、少々お金も持ってられるでしょうしね。それと現在は各パーツがどんどん軽量化して自転車も軽くなっていますが、あまり軽すぎるのは逆に危険なので、最低でも7キロ以上はあった方が良いと思います。」

M:「又話が変わって恐縮ですが、今度のGiro d’Italiaでは誰が総合優勝すると予想されますか?」

V:「予想と言うよりも希望になりますが、やはりイタリア人に勝ってもらいたいですね。今回はRiccò(BianchiのTeam Ceramica FlaminiaのメンバーRiccardo Riccò 先日のGiro del Trentinoでは2位)が出場しないので、Basso(Ivan Basso Liquigas-Doimoのメンバー)が有力かな?」

M:「Vignaさんはローマオリンピックの団体追い抜き競技で金メダルを取られましたが、今もイタリアチームは強いのですか?あとイタリア代表チームの自転車はどこかのメーカーで統一されているのでしょうか?」

V:「強かったという方が正しいかも。次回のロンドン大会のトラック競技では多分イギリスかオーストラリアチームが勝ちそうな気がします。使用自転車はロードの場合、各選手の自前になりますがトラック競技の場合は統一されていて、以前はCOLNAGOでしたが今はPINARELLOと契約しています。次回のロンドン大会に出場する場合もPINARELLOになります。」

M:「そうなんですか、イタリアも是非頑張ってほしいですね。日本も競輪があってスプリントは結構強いんで、日本も頑張って欲しいと思います。因みにVigna氏は日本へは行かれた事はあるんですか?」

V:「残念ながら一度も行った事がないんですよ。でも選手を引退した後の1970年代初めにSONY ITALIAでSONY製品の輸入の仕事を手伝った事があるんで、日本への親近感はありますよ。まだその頃のSONYはイタリアでは殆ど無名でしたが、本当に良い商品を作ってました。今では日本の家電メーカーがイタリアどころか世界中に溢れているんで、その頃の事は想像もできないでしょうが。それと日本人の自転車競技で有名なのはやはり中野選手を思い浮かびますね。あと中野選手のフレームを作っていたアキも覚えてますよ。」

M:「アキですか?長澤さんという方の事でしょうか?」

V:「アキとしか呼んだ事がないので、よく分からないがそんな名字だったと思う・・・。日本人の名字は長くてイタリア人には覚え難いからね。」

(その後調べると長澤氏のフルネームは長澤義明氏でイタリアではアキと呼ばれていた可能性大)

M:「森は簡単でしょ?イタリアにもMORIって名字は多いですし。」

V:「確かに、モリは簡単。」

M:「最後にこのオフィス内を一通り案内して頂けないでしょうか。どんな組織でどんな方達が働かれているのか拝見したいので」

V:「了解。それではご案内します。」

と言う事でこのフロアにある組織とそのオフィスを色々と見せて頂きました。(写真参照)

残念ながら反射して写真には取れませんでしたが、壁には過去、現在のイタリア人有名選手の直筆サイン入り写真が至るところに貼られていました。

  • Associazione Corridori Ciclisti Professionisti Italiani(通称A.C.C.P.I.イタリアプロ自転車競技選手連盟)

A.C.C.P.I.オフィス

  • Angelo Lavarda氏(アンジェロ・ラヴァルダ氏):イタリアスポーツ界の重鎮で自転車競技以外のスポーツ連盟の理事も多数兼務。

テクニカルアドバイザーとして北京オリンピックの自転車競技イタリア代表チームを引率。

Angelo Lavarda氏

  • Consiglio del Ciclismo Professionistico(通称C.C.P.プロ自転車競技議会)

C.C.P.事務員さん達

Stefano Piccolo氏

C.C.P.代表書記(SEGRETARIO GENERALE)のStefano Piccolo(ステファノ・ピッコロ氏)もいらっしゃいました。

  • Struttura Tecnica Federale:(通称S.T.F)

自転車テクニカル連盟の意味でC.C.P.が運営を主体にするのに大してハード面でのフォローをメインに行う組織

S.T.F.事務員さん達

イタリア代表チームユニフォームもここで管理。これが実物の写真です。

2007年世界選手権個人ロードレースの優勝ジャージも飾られていました。

今回取材にご協力いただいたMarino Vigna氏、ならびに他の皆様ありがとうございました!

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今回はここまで。
また次回レポートをお楽しみに!
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  1. [...] Vigna氏(第13回レポート参照)から伺って初めて知ったのですが、今回レポートしたフレーム工房 ‘Pettenella’のGiovanni “Vanni” Pettenella氏が今年2月20日に他界されたそうです。 [...]

  2. [...] それはそうと私の日本滞在中に終わってしまったGiro d’Italiaですが、前回取材したMarino Vigna氏の予想(希望)通りイタリア人のIvan [...]

  3. [...] 先日レポートしたMarino Vigna氏がBianchi社のアドバイザーをされているので、今回お願いして同行させてもらいました。 Bianchiの工場は、ミラノ県の北東隣にあるBERGAMO(ベルガモ)県のTREVIGLIO(トレヴィリオ)市にあり、 TREVIGLIOまでは列車で行けても駅から少々離れている為、車無しでは行けません。 [...]